No.4 ペット好きの父のトラックを譲り受けることになった

僕の父親は僕が小さい頃に脱サラして長距離トラックの運転手になっていた。
最初はほとんど家に帰って来なく、「どうしてお父さんは家に帰ってこないの?」と母親に聞いていたことが子供ながらにうっすらと記憶が残っている。

僕が小学校に上がる頃、一度夏休みを利用してお父さんのトラックに乗せてもらい、長距離ドライブに連れて行ってもらった事があった。
普通の車から見る景色と違い高さのあるトラックの窓越しに見える風景は、とても綺麗で、僕も将来大人になったらトラック運転手になりたいと思ったほどである。

そんな父親は、 僕が高校生の時に浮気が理由で母親と別れることになり、 僕は母親に引き取られたためしばらく父親と会う機会はなかった。

僕は子供の時に感じていた「僕も将来になったらトラック運転手になるんだ!」という夢をあきらめずに、僕も父親と同じく長距離トラックの運転手をすることを選んだ。
長距離トラックを運転する仕事に就職を決めた時、最初母親からは大反対されたが、 僕が小さい頃からお父さんのような長距離トラックの運転手になると言っていたことを思い出して、最後はしぶしぶ賛成してくれた。

僕が長距離トラックの運転手デビューしてから3年ほど経ったある日、とある高速パーキングの駐車場で、偶然父親と再会することができた。
父親は今でも長距離トラックの運転手をしているそうだが、そろそろ引退も考えているそう。
離婚してからは一人暮らしで寂しかったのか、小さな小型犬を飼っているそうで、近距離の運転の時はいつも助手席にその小型犬を乗せているそうだった。

父親に僕も小さい頃からの夢だった長距離トラックの運転手を始めたことを伝えると、とても喜んでくれた。
そして父親から「もしお前が嫌じゃなければ、俺のトラックを使わないか?」と提案してくれた。
今、自分が載っているトラックは、会社から借りているものだったので、 いつかは自分のトラックを欲しいとは思っていたが、 こんなに急に夢が叶うとは思わなかった。

その場で父親とは携帯の番号を交換し後日再度会うことを約束した。
僕が今住んでいる自宅から車で2時間ほどの場所に父は住んでいた。今年いっぱいで仕事をリタイヤするので、来年からこのトラックを使ってもいいぞ!との事だった。

そしてトラックを譲り受けて車内清掃をしていると、小型犬の犬の匂いがかなりこびりついているようでなかなか取れなかった。残念ながら僕はあまり犬が好きではないので、どうにかしてこの犬の匂いだけは取り除きたかった。

そこでネットで色々と情報を調べた結果、同じ市内でトラック専門の社内清掃をしている業者を見つけて、車内清掃のお願いをする事にした。
すると、あれほど頑固に落ちなかった臭いがきれいさっぱり消えていた。さすがプロの仕事である。

後から聞いた話だが、シートをすべてクリーニングしてくれたそうで、どうりで、シート周りも綺麗になっていたはずだ。
これで気持ちよく仕事も出来そうです

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