No.7 久しい友人からの便りは再婚の知らせ

数年ぶりに、転勤生活から自分の地元に戻ることになった。地元とは言っても実家ではなく、都市部の駅近に部屋を借りていた。会社で借り上げている部屋の1つで、私はここからあちこちに単身で飛んでいたのだ。転勤のたびに荷物を持ち歩くよりも、家具付きの部屋に身体1つで移動する方が身軽で経済的なのだ。久しぶりの我が家に足を踏み入れた時には心の底からホッとして、懐かしい自分のベッドに大の字に身を投げた。

部屋の空気の入れ替えをし、帰り道で買ってきたサンドイッチでお腹を満たす。食料品や細々したものを調達してこないと生活出来ないだろう。あと数日は休みをもらっていたから、ゆっくりと自分のことにかまけることが出来る。バックから下着や日常品を取り出して、私はしばらくぶりに懐かしい町に出た。新しい店舗の姿もいくつか目についたが、町は私が出て行った時のままだった。

膨らんだビニール袋を抱えてマンションに戻ると、郵便受けがいっぱいになっている。DMやチラシなどのいらない物をゴミ箱に投げ入れ、数通の手紙を抱えて部屋に戻った。その中の1通が懐かしい友人からのものだった。封を切ると、写真がハラリと落ちる。先日再婚した同級生の結婚式に出席したこと、私にも出席して欲しかったけど他県に転勤中だとお母さんに聞いたので諦めたこと。写真を何枚か送ること、そのうちにまた皆で集まろうと話し合ったこと。追伸、皆ドレスはレンタルなんだよ。一緒に行って割引してもらっちゃった!

私なんて1回も経験していないのに、もう再婚している同級生がいるのか。レンタルで借りたというドレスが華やかな色を添えている。見知った顔がいても、名前が出てこない。手紙の送り主は皆の後方で笑っていた。ところで、再婚を果たした友人とは誰なのよと思いながら、私は彼女の連絡先を携帯に登録した。せっかく帰ってきたのだから、連絡を取って会いに行こう。私はいつの間にか微笑んでいた。

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